昨日は第31回アミノ酸セミナー(国際アミノ酸科学協会主催)という集まりに参加させてもらい、帝京大学医学部の功刀浩先生のご講演「うつ病とアミノ酸」を拝聴しました。患者さんの脳脊椎液や血液の代謝物を分析し、うつ病のバイオマーカーを探索したという内容でした。私もうつ病モデルマウスを使って、代謝物の解析をしていくつか論文を発表してますので大変興味深く聞きました。講演内容の論文はJPRに2018年に発表されてます。
Plasma amino acid profile in major depressive disorder: Analyses in two independent case-control sample sets
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395617305344?via%3Dihub
この論文のなかでは、リン酸エタノールアミン(PEA)がうつ病患者さんの血漿で高値だと発表しています。一方で興味深いことに同時期に国内から発表された論文では逆に患者さんの血漿でPEAが低値を示すと発表しています。クリニックの院長をされている川村則行先生の論文がこちらです。2018年にPsychatry and clinical neurosciencesに発表されています。考察にPEAの分析手法についてコメントがありますが示唆に富んでいます。
Plasma metabolome analysis of patients with major depressive disorder
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/pcn.12638
日経BPの下記の記事でも紹介されていますが、この研究は鶴岡のメタボローム解析ベンチャーであるHuman Metabolome Technologyが解析を担当しています。
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00003/091300031/
我々はマウスの代謝物を分析していると、分析手法で真逆のデータが出たりします。どちらを取るべきか非常に悩みます。今回のEPAのような事例は珍しいことではないで、個人的にはいくつかの代謝物やmicroRNAなどを組み合わせて、病態のマーカーとするのが現実的かと思っています。特にうつ病のようなヘテロな病気にはそれが良いと思えます。
功刀先生はご講演の最後に、うつ病の予防や治療という観点から食のポテンシャルは非常に高い、とコメントされていました。その一言にとても勇気づけられました。
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